●戦略型脱出サバイバルゲームZoLa メイキング22
●白打ち
今回クリアカードは、重ねるという仕様上、印刷面の裏が透けないように、白打ち、というのを行う必要があった。これにより印刷代が上がってしまうが、費用よりもゲーム性をとる事にした。どうしてもこの仕様で遊びたかったのだ。
白打ちとは、クリア素材に印刷された半透明部分に、裏から白で印刷して、透けるのを防ぎ視認性を高める方法である。
そしてこれは、通常印刷と全く同じ位置に行うのだが、白色がはみ出る事を避ける為、通常印刷面より、印刷面を内側に小さく指定するひつようがあるのだ。
だが、今回のクリアカードには、細い線が使われている。それよりさらに細い範囲の印刷を、それもずれる事無く行う必要があるのだ。
この時、正直「やらかした」と感じていた。印刷はデータ上ずれる事はないが、現実の印刷という行為はアナログ的である。当然、わずかなずれが発生するし、それを完全に無くす事は不可能である。
にも拘らず、出来上がった製品を確認した時「うわ、マジか」と思わず声に出してしまった。そこには文句のつけようもない、美しい印刷がなされたカードがあったからだ。
かつて業務で遊技機の印刷を行う工場へ伺わせていただいた事がある。遊技機は認可事業である為、出来上がった製品と実際の製品とに齟齬がないか、販売許可をもらう為のチェック、試験が行われる。
それは当然各部品の印刷面にも及び、わずかにずれているだけでも、書類と異なる、として試験で落とされてしまう。
しかし今回の印刷は、そうした企業が大金をかけて行うようなクオリティが、個人の依頼でもなされたという所に、えらく感動したのである。
これも偏に、萬印堂様のおかげと感謝の気持ちを強く持つと共に、なるべく人にも自分にも優しいデザインを心がけようと、思ったのであった。
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